平成18年度予算について

 

官から民へ、国から地方へ。

無駄を省き、民間でできることは民間に。

改革、加速。

 

三位一体、公務員総人件費、政策金融機関、特別会計、特定財源、医療制度、年金、政府の資産・債務改革―――。十月に郵政民営化が成立した直後、私たちは「ポスト郵政」とも言われた改革課題に急いで取りかかりました。これらの行政改革や構造改革はそれぞれ別個のものではなく、一体となって小さな政府」に寄与していく関係を持っています。国(795兆円)と地方(200兆円)の債務超過、少子高齢化、グローバル化を乗り切るために、歳出・歳入両面から財政健全化を目指すだけにとどまりません。まさに今、きちんとしたレールを敷かなければ、国家百年の計を誤ることになります。

その前提として必要なのが国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化。それには先ず、国も地方もこれまで以上に財政の無駄を削り、財政を立て直しながら社会保障など、より国民的ニーズが高い部分へ効率よいサービスに努めなくてはなりません。その体制、枠組みつくりは急務。実情にあった制度の具体化が求められる中、郵政、税制改正、無駄を省いた18年度予算策定を経て小さく効率的な政府実現へと大きな一歩を踏み出しました。

無駄使い削減!歳出 最大の2兆4,969億

小泉政権発足後、5年連続の緊縮予算

一般会計3.0%減 79兆6,860億円

 一般会計総額79兆6,860億円の平成18年度予算政府案が決定しました。新規国債発行額29兆9,730億円のうち、赤字国債は17年度当初予算比13.2%減の24兆4,890億円で、14年度当初予算(23兆2,100億円)以来4年ぶりの低水準です。一方、建設国債は公共事業の削減などを進めた結果、同11.3%減の5兆4,840億円となり、15年ぶりに6兆円を下回りました。一般会計総額は、歳出削減を進めたことなどで同3.0%減になり、4年ぶりに減少。80兆円を下回るのは98年度以来8年ぶりです。定率減税の廃止や税収の増加もありますが、これまで手がつけられていなかった特別会計の一般会計化や独立行政法人化により、赤字国債、建設国債とも減少は2年連続になり、改革の成果は少しずつですが目に見えたものになってきました。

ポイント@ 予算歳出スリム化で小さな政府 

一般会計4年ぶり3%減!8年ぶりに80兆円割れの79億6860円億円

一般歳出も2年連続減、7年ぶりの46兆円台

三位一体改革により、国からの補助金1兆2844億円削減!それに見合う税源を地方へ移譲

ポイントA 行政改革財政再建で債務圧縮

特別会計の余剰金12兆を一般会計化し、国債返済へ

国債発行額5年ぶりに30兆円下回る29兆9,730億円前年度からの減額幅は過去最大の4.4兆円(赤字国債24兆4,890億円建設国債5兆4,840億円)

赤字国債、3兆7000億円減

ポイントB 社会保障歳出の44%

社会保障関係費は0.増の20兆5,739億円、「少子化に1兆457億円

少子化対策に1兆457億円

 

  無駄遣い改革!5年連続の歳出削減

 今回の予算編成では、「思い切った歳出削減」に取り組んだ跡が随所に見られます。公共事業関係費は4.4%減の7兆2,015億円となり昭和63年以来、18年ぶりの低水準。公的医療保険から医療機関や調剤薬局などに支払う診療報酬は過去最大となる3.16%引き下げとなり、社会保障など政策的経費の一般歳出は同1.9%減の46兆3,660億円で2年連続前年度当初予算を下回りました。地方交付税等交付金も同9.5%減の14兆5,584億円で3年連続前年度当初を下回り、小泉政権発足後、5年連続の緊縮予算となっています。ただ国債の利払いや償還に充てる国債費は同1.7%増の18兆7,616億円で4年連続増加、国が抱える借金がいかに重いかがうかがえます。

 地方へ税源を移し国の事業を「譲渡」する仕組みをつくった三位一体の改革で地方向け補助金は、来年度に1兆8,667億円削減、このうち1兆2,844億円を国から地方に税源移譲します。特別会計を含めた地方向け補助金総額は、老人医療や生活保護関係で増加したものの、同1兆840億円減の18兆7,156億円になり、2年連続で減少しました。

 予算の無駄遣い解消に向けた地道な努力もありました。厚生労働省のポケットベル使用料、経済産業省の物産展開催費など、予算計上されていながら執行実績がなかったり執行実績に比べて過大な予算計上になったりしていた事業が多く、その見直しは1,609件に及びました。削減効果は654億円と全体からみれば小さく見えますが、こうした地道な歳出削減努力の積み重ねが今後も、各省庁の無駄遣いに対する意識改革を促すのは間違いありません。

  行政改革と特別会計の一般会計化

 歳出カットで大きく貢献したのが、行政改革のひとつである特別会計の見直しです。これには党内でも実に激しい議論がありました・・・。これまでマイナスシーリングがなかった道路整備特別会計、空港整備特別会計、電源開発促進対策特別会計、石油・エネルギー特別会計の四つの特別会計から約1兆8,000億円を一般会計に繰り入れました。約80兆の予算から見ると小さい額に見えますが、この特別会計の一般財源化には大変な道のりがあったのは事実です。 

 

  一般会計 79兆6,860億円 3.0%減  

歳入    45兆8,780億円 1兆8,710億円増 .3%
税外収入 3兆8,350億円 491億円増 .3%
   29兆9,730億円 4兆4,170億円減 12.8%
 
歳 出 一般歳出 46兆3,660億円 ,169億円減 .9%
  社会保障 20兆5,739億円 ,931億円増 .9%
文教科学振興 兆2,671億円 4,559億円増 8.0
公共事業 兆2,015億円 ,295億円増 4.4
   4兆8,139億円 24億円減 .9%
地方交付税交付金等 14兆5,584億円 1兆5,305億円減 .5%
   18兆7,616億円 ,194億円増 .7%
   ―――――――― ,689億円減 ―――――

   ※増減は平成17年度当初予算費、は伸び率、はマイナス、千円単位で四捨五入

 

暮らしへの影響

 介護・医療                                   

がん対策の拠点整備 ―――――――――― 現在48.1億円→81.3億円

介護事業支援の交付金創設 ―――――494億円(新規)

70歳以上(現役並み所得)の窓口負担 ― 現在2割→3割(平成18年10月から)

70歳以上の長期入院自己負担 ―――― 食費の一部→食住費全額(平成18年10月から)

 年金                                      

厚生年金保険料率の引き上げ ―――14.288%→14.642%

国民年金保険料の引き上げ ――――― 月1万3,580円→1万3,860円(4月から)

 育児                                      

児童手当の支給対象拡大 ――――――― 現在小学3年まで→小学6年まで

                      (第2子まで月5,000円、以降1万円)

不妊治療に対する支援期間 ―――――― 1年の限度額10万円、通算2年→通算5年

出産育児一時金の引き上げ ――――― 現在1人につき30万円→35万円(10月から)

小児救急医療体制の充実 ――――――― 全体で20億円→26億円

民間保育所の受け入れ児童の拡大 ――― 106.2万人→110.7万人  

 雇用                                      

ニート支援拠点の整備 ――――――――――――――全国25カ所(新規)

母親の就業を支援するマザーズハローワークの推進 全国12カ所(新規)

 教育                                      

学校安全対策の指導員増員 ――――――――――― 1,200人→2,400人

育英奨学金の貸与人数拡大 ――――――――――― 103.4万人→109.2万人

 住宅                                      

耐震診断や改修の促進 ――――――――――――― 20億円→130億円

住宅公庫の提携ローン融資戸数 ――――――――― 10万戸→12万戸

 安全・安心                                   

自動列車停止装置の整備など ―――――――― 48億円→50億円

津波対策などのための公園整備 ――――――― 477億円→501億円

 研究開発                                    

風力発電の導入支援 ―――――――――――― 12億円→29億円

燃料電池の技術開発 ―――――――――――354億円→340億円

 

   今度の課題と取り組み

 今回は財政の健全化に貢献する予算ですが、課題もあります。歳入面でも、財務省幹部が「新規国債発行額が30兆円を下回ったのは、定率減税や法人税減税の廃止が一番大きい」と認めるように、国民負担増が「国債発行30兆円以下」の実現を支えたことも確かです。
 今後、さらなる財政構造改革を推進するためには、公務員総人件費削減をはじめとする「義務的経費」など、持続的な歳出削減効果が見込める項目や、特別会計にもさらなる見直しをかけるべきと考えています。