子育て支援対策について

 

 

今後さらに実現すべき子育て支援対策について
(中間とりまとめ)

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平成18年4月27日
自由民主党政務調査会厚生労働部会
子育て支援対策小委員会
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 本委員会においては、昨年7月に「新たな子育て支援対策の展開について」中間とりまとめを行ったが、その内容は、昨年9月に行われた総選挙における党のマニフェストにもとりあげられ、本年度の予算や制度改正にも反映された。
 その後、党税調で抜本的な税制改革の議論がスタートし、少子化対策についての政府・与党協議が始まったことを受け、本委員会においても昨年の中間とりまとめで十分に議論ができていない点やさらに強力な対応が必要と考えられる点を中心に、議論を行い、現段階での考え方をとりまとめた。


【基本認識】


 予想より2年早く人口減少社会に突入するなど、急速な少子化の流れが続いている。このことは、社会保障の安定を損なうにとどまらず、社会の担い手、新たな技術革新を担う人材の不足など我が国の社会経済に大きな影響をもたらし、国の将来を危うくするおそれがある。
 将来の少子・高齢化社会を展望し、現在、簡素で効率的な政府を目指して歳出改革が進められているが、そのような中にあっても、少子化のもたらす悪循環を脱するためには、財源の確保を図り、抜本的な少子化対策を早急に展開していく必要がある。
 その際、経済的支援の問題については、ばらまき施策で効果が薄いとの指摘がある。しかしながら、保護者が子育ての第一義的な責任を負うことを前提としても、子育てに経済的な負担が伴うことは事実であり、特に若年期には切実な問題である。それらの負担を軽減して社会全体で分かち合うことは十分意義のあるものであり、決して「ばらまき」で行うものではないことを明確にして、取り組んでいく必要がある。

【基本的な視点】


今後さらに対策を進めていく上では、

@個人の多様な生き方を尊重しつつも、家庭を社会の基礎的な単位として尊重し、

国、地域、企業は、子育てというその健全な営みを支援すること

A若い時期から、家族を持ち子供を産み育てる喜びを実感することのできる環境を整

えること

B地域の特性に応じた社会の絆の強化を図ること
を基本的な視点において取り組んでいくべきである。


【今度実現すべき子育て支援策】


1.子育ての経済的負担を社会全体でわかちあう社会

@子育て家庭の経済的負担を軽減するため、税制と児童手当の双方を組み合わせた支

援を行い、社会全体で子育ての負担を分かち合う。

Aその際には、

・税収額を維持しつつ、子育て家庭の負担を軽減することとなるよう、税率構造を

見直しつつ、世帯間の負担の配分を見直すことのできるN分N乗方式が望ましいとの意見、

・現行の配偶者控除、扶養控除を見直し、その財源を用いて子どもに対する税額控

除を行い、特に所得の高くない年齢の若い家庭に手厚い負担の軽減を行うことが望ましいとの意見があった。

Bまた、子育ての経済的負担を税のみで調整することは困難であること、また、児童

手当は所得の低い層に有効な支援策であることから、今後とも欧州諸国と同程度の水準まで児童手当を拡充する必要があり、税制の抜本的な改革の議論の中で事業主負担も含めて費用負担の在り方について検討を行い、将来の税収拡大措置と同時に行うことが望ましい。

Cあわせて、子育て家庭の家計をみると、経済的に苦しいのは子供が低年齢の時期と

大学に通う時期であることを踏まえ、
・育児休暇中の給与の在り方も合わせ、親の年齢が若く子どもが低年齢期(特に3

歳未満の時期)の支援の強化や、

・子ども自身が教育費を負担できる奨学金の充実
を講じることが必要である。(後述)

 

2.誰もが安心して家庭、子どもを持つ事ができる社会

@若年期の経済的不安を解消するため、これから家庭を築き親になろうとする意欲を

持ちながら、これまで安定的な雇用を得られなかったフリーター等の若者に対するハローワークでの特別相談窓口の創設や、特別職業訓練枠の設定により、安定的な職業生活への移行のための支援を充実する。

A育児休業給付について、給与水準の引上げや休業中の労働者(短時間勤務を含む)

を経済的に支援する事業主に対する助成制度の創設により充実を図り、親の年齢が若く子どもが低年齢期の支援を強化する。

B一度仕事を辞め家庭で子育てした人に対しても、

・一時預かり等地域の子育て支援の充実や、
・マザーズハローワークや特別相談窓口の全国展開を通じた意欲ある離職女性が離

職前の職歴や経験を活かして働ける再チャレンジ支援、

・パート労働者の均衡待遇(後述)
を勧め、不利にならないようにする。

C不妊治療の成功率を高める方策と患者に対する支援の充実のための方策を検討し、

子どもを望む夫婦を強力に支援する。

D三世代同居を含む多様な居住形態への対応、職住近接の推進や保育所等を併設した

住宅の供給促進など子育てしやすい住宅・居住環境の確保を支援する。


3.すべての子どもが必要な教育と支援が受けられる社会

@学校教育をはじめ教育について、

・乳幼児とのふれあい教育の推進、
・公共心の養成、
・働く事への意欲を高めるキャリア教育の推進、
・地域子ども教室推進事業などを活用した教育力向上の取組み、
・10代の性感染症、人工妊娠中絶の発生を抑制するため、適切な性教育の実施、

相談体制の強化、

などを充実し、子どもたちの健やかな心身の成長を実現する。

A放課後児童クラブについては、原則としてすべての小学校で実施する体制を整備・

充実する。

B高等教育に関する奨学金について、貸与額の引上げや返済時の税制上の優遇措置に

よりその拡充を図り、希望者全員に貸与し、すべての子どもが希望する教育を受けられる環境を整える。このことは、自ら学費を負担することによる学生の自立意識を育むことになる。

C幼児期を含む障害児教育を充実するとともに、児童虐待から子どもを守るための措

置を強化する。

D子どもの幸福と子どもを望む家族のために、里親、養子縁組制度を充実する。
E母子家庭や父子家庭に対する支援を強化するなど、どのような家庭にあっても子ど

もの保護と権利が守られるよう必要な支援を強化する。

 

4.結婚・子育てを地域全体で応援する社会

@「家族の日」の制定や国、地方公共団体による家族・子育てをテーマにした会議の

開催など、子どもを育む家族や地域の絆を深める国民運動を展開する。

 

5.より多くの企業が仕事と家庭の両立を支援する社会

@企業の次世代育成支援の行動計画や両立支援の取組み状況を公表するとともに、両

立支援措置(育児休業、育児期の短時間勤務、残業の抑制、再雇用制度など)を講ずる企業に対する助成制度を充実し、税制上の優遇措置や公契約における優遇など経済的インセンティブ(誘因。目標を達成するための刺激)を付与する。 

Aパートタイム労働者の均衡処遇など、仕事に応じた適切な評価と公正な処遇を確保

するための措置を強化する。

※三省堂「デイリー新語辞典」より