経済産業省中小企業庁は、全国の商店街の中から、がんばる商店街77選を選考し、5月30日に発表しました。

 地元滋賀県から、彦根市(彦根市6商店街:彦根夢京橋商店街花しょうぶ通り商店街銀座商店街登り町グリーン通り商店街おいでやす商店街四番町スクエア)と、長浜市(黒壁)が選ばれました。

 私も強力に推薦致しましたが、これも偏に地元の皆様の日頃からの努力の賜ものと心から敬意を表する次第です。

 私も湖北出身の衆議院議員として、湖北、湖東地域の経済活性化と賑わいのある街づくりに取り組んで参ります!!

 

  

 彦根市(彦根市6商店街) 詳しくはしてください。

 

 長浜市(黒壁) 詳しくはしてください。

 

 

商店街活性化の事例 滋賀県彦根市 彦根市内6商店街

 

「再発見と新創造」城下町の挑戦

 

!ここがポイント

 

地域資源を活かした新名所。江戸町屋風、大正ロマン、ケータイ、脳にやさしい音楽、寺子屋など多彩なキーワード。

夢京橋キャッスルロード

 

■ 事業実施の背景

 滋賀県彦根市は、日本列島のほぼ中央・国土軸の東西南北の交点という要衝にあり、琵琶湖の東北部に位置している。中心市街地には、国宝・彦根城がそびえ、東に石田三成ゆかりの佐和山城跡がある。関ヶ原の戦いのあと徳川四天王の一人、井伊直政がこの地に任ぜられ、その意志を継いだ、長男直継、次男直孝が20年の歳月をかけて「彦根城」を築城したのが始まりで、その後開国の祖井伊直弼公を輩出し、35万石の城下町として栄えた。

 そのような歴史的背景を持ちつつ、商店街も栄枯盛衰を辿り、昭和初期より銀座商店街が県内屈指の商店街として賑わった。しかしながら、オイルショック後、郊外への住宅地や大型店、ロードサイド店などの立地が進み、人口重心や消費者の利便性から中心市街地は、衰退へと向かった。

 彦根市における中心市街地にある商店街は、12商店街であるが、その数もピークの800店から400店弱と激減している。

 

■ 事業の概要

@ハード整備

 そのような中、平成元年から10年がかりで「夢京橋キャッスルロード」が街路拡幅事業に取り組み、江戸町屋風のファサードに統一され、年間45万人の来街者が訪れるほど賑わいを回復した。この事例は、市内の各商店街へ成功事例として波及した。

 その後、平成10年の中心市街地活性化法の施行と同時にTMO構想によるファサード整備事業を花しょうぶ通り(町屋風)・登り町グリーン通り(欧風)・おいでやす(なまこ壁風)・四番町スクエア(大正ロマン風)の各商店街が実施、銀座商店街においては、アーケード整備事業、四番町スクエアにおいては、お客様駐車場・テナントミックス施設(食の館「ひこね食賓館」四番町ダイニング)の設置をおこなった。

 夢京橋キャッスルロードと四番町スクエアは観光客を、その他の商店街は地元客を主とする顧客層として事業展開している。

Aソフト整備

 各商店街ごとに取り決めたコンセプトにより、商店街整備を行ってきたが、完成が始まりとの認識を持ち、ソフト事業に取り組んでいる。

 花しょうぶ通り商店街のナイトバザールや地域一帯で開催されるアートフェスタ勝負市は、滋賀滋賀県立聖泉の各大学生や市民団体とともに実施している。昔の寺子屋を利用した「街の駅」も商人塾として定着してきた。

 また、登り町グリーン通り商店街では、おかみさんによる「店先カルチャー教室」や地元アーティストを育てる「NOBORIMACHI グリーンステージ」に取り組んでいる。四番町スクエアは、大正ロマン風のまちとなったが、脳にやさしい音楽「ハイパーソニックサウンド」や六童子、五灯式のガス灯など話題性が多い。

 前述の「街の駅」は、滋賀大学・滋賀県立大学のまちなか研究室としての活用やNPO彦根景観フォーラムNPO湖東焼を育てる会など多彩なメンバーで構成されている。今後組織のLLP化((Limited Liability Partnership)=有限責任事業組合)も視野に入れサスティナブルな活動を目指すまで発展してきた。

 市内の回遊性を高めるため、ユビキタス技術を駆使して、ごく身近なパソコンである「ケータイ電話」を用いて学習型観光を推進している点も波及効果の現われといえる。

 

■ 事業の効果

 平成17年の新聞・メディアへの記事掲載等を広告料換算すると約1億円の試算となり、大きな事業効果であった。

 

■ 事業の課題・反省点

 中心市街地の人口減少に歯止めがかかり、住宅・マンションの建設が急増している。都市として住んでよし、働いてよし、暮らしてよしが都市格を形成するとするならば、彦根市の水準は、高いと判断できる。

 この20年間で、約80億円の投資をしてきたこととなるが、税金として回収できるかどうかが今後の課題でもある。

 歴史と文化のまち「彦根」を訪れる人、もてなす地元の人々の笑顔が溢れ、賑わうことが今後の彦根のバロメータとなろう。

 

彦根市内6商店街

所在地:滋賀県彦根市

会員数:6組合249店

    彦根夢京橋商店街

    花しょうぶ通り商店街

    銀座商店街

    登り町グリーン通り商店街

    おいでやす商店街

    四番町スクエア

商店街の類型:近隣型商店街

関連URL :彦根商工会議所

http://www.hikone-cci.or.jp/

花しょうぶ通り商店街

(商人塾として活用されている「街の駅」

 

 

商店街活性化の事例 滋賀県長浜市 (株)黒壁

 

空洞化した街に「ガラス」で観光客200万人

 

 

!ここがポイント

 

第三セクター「黒壁」が民間主導でガラス事業を展開。都会から帰ってきた若い後継者が家業に専念しながら、伝統文化「長浜曳山祭り」を愛し、継承。

 

ガラス館

 

■事業実施の背景

 長浜は秀吉がはじめての城持ち大名になった地で、また大河ドラマ「功名が辻」の「山内一豊」は三代目の長浜城主である。当地は「楽市・楽座」で知られるように、430年の間商業の街として栄えてきた。特に、地場産業として高級絹織物「浜縮緬」が長く当地の地域経済を支えてきたが、和装の衰退と共に業界も縮小していった。

 また、昭和50年代に入りモータリゼーションの発達、大資本のショッピングモールの郊外進出などにより、中心商店街は急激に疲弊していき、商店主は高齢化し、シャッター通りとなっていった。かつては、湖北地域15万人の商圏を誇っていた商店街は、月間わずか約4,000人の来街者となり、日曜日の午後1時間にメイン通りを「人4人と犬1匹」しか通らなかった。当然、市民の悩みはこうした経済の衰退によって生活が脅かされることであるが、それだけでなく、秀吉の時代から護り継がれてきた豪華絢爛な子供歌舞伎を曳山と呼ばれる山車の上で演じる「曳山祭り」の継続が困難になることが問題となっていた。

 さらに追い討ちを掛けたのが、昭和60年代初めにカトリック教会の郊外移転に伴い、旧黒壁の建物が売却され、その跡地にマンションの建設計画が持ち上がったことである。この建物は、明治33年に国立第百三十銀行長浜支店として建てられその黒漆喰の洋館である外観から「黒壁銀行」として親しまれ、その後、明治銀行、専売公社、カトリック教会に姿を変えながら街の賑わいを見つめ続けてきた。この街のランドマーク的な建物が取り壊されると聞き、当時の市役所職員が危機感を持って、地元の財界人に相談を持ちかけ

 そこで立ち上がったのが、青年会議所OBを中心としたメンバーで、貸しビル業、ホテル業、金属加工業、建設業、倉庫業などの様々な業種の企業家達である。当初、土地、建物の買戻しと修復資金等で1億3千万円の資本金(長浜市4千万円、民間8社9千万円)で第三セクター「株式会社黒壁」がスタートした。建物は確保できたが、事業として何をするかが未だ決まらない。何度か役員会を重ねるうち、初代社長から「ガラスを作っている所には沢山の人が集まる。ガラスをやろう」との提案で、役員がヨーロッパに行き、超一流のガラス文化に感動し、長浜で本物のガラス事業を展開することとなった。

 

■ 事業の概要

 こうして、平成元年7月1日、黒壁一号館黒壁ガラス館、二号館スタジオクロカベ(オリジナル工房)、三号館ビストロミュルノワール(レストラン)からなる黒壁スクエアが誕生した。その後、NHKで紹介され、観光客、特に女性が口伝えで広めたこともあり、来街者が順調に増加した。

 観光客の増加に伴い、ガラス館の横を走る北国街道の古い民家を借り受け、ガラスにかかわる直営店を増やし「北国街道」を「ガラス街道」として展開していった。平成4年には、江戸時代からの醤油の製造卸の商家を譲り受け、ヨーロッパ各地で買い付けたアンティーク美術品を商家の佇まいに展示した国内唯一のガラス美術館をオープンした。こうして、単なるガラスの物売りではなく、本物のガラス文化を発信することに心掛けてきた。平成15年には、それまでの黒壁のガラス技術の集大成としてオリジナルブランド「リフレクションクロカベ」を発表した。黒壁の理念は、「お客様に常に新たな感動を与える」ことであるが、今では、来街者が年間200万人を迎え、そのうちリピート客が40%強を占めるまでに至っている。

 

■ 事業の効果

 黒壁オープン当初は、地元商店街は冷ややかな目で迎えていた。しかし、年々増加していく観光客にシャッター通りのシャッターが徐々に開き、今では黒壁スクエア300メートル四方にシャッターの閉まった店はほとんど無くなった。黒壁直営店の年間売上げは6億円から7億円であるが、地元に落とす経済効果は30億円とも言われている。

 

 

黒壁来街者推移

平成元年

平成3年

平成5年

平成10年

平成15年

9万8千人

34万5千人

73万7千人

162万3千人

217万7千人

 

■ 事業の課題・反省点

 これからの課題として3点挙げられる。

1)今まで、ガラス文化を基軸としながら、増加するリピート客に新たな感動を与えるべく、万華鏡展、美術館特別展、フィギュアミュージアム誘致等仕掛けをしてきたが、順次企画をしていくことが資金的にも大変である。

2)第三セクターということで、これまで出資金以外一切行政の補助を受けていないが、事業拡大とともに、運営資金の調達コストの負担が大きくなってきている。

3)創業17年と若い企業であり、構成するスタッフも非常に若い。磐石な経営体質にすべく人材育成等が今後の課題である。

 

轄封ヌ

創立:平成元年4月11日

資本金:4億4千万円

所在地:長浜市元浜町

店舗数:13店舗

業務内容:国内ガラス工芸品の展示販売、海外アートガラス輸入、展示販売、ガラス工房運営、オリジナルガラス制作販売、食堂喫茶の運営、まちづくり文化に関する情報、資料収集提供

関連URL http://www.kurokabe.co.jp

吹きガラス