6月18日(実質16日)で第164国会が閉会しました。昨年9月に初議席を得た私にとって、この150日間の通常国会は、誠に有意義な、貴重な体験の日々でした。ここで振り返って見ます。

この期間、私は所属する衆議院経済産業委員会、決算行政監視委員会それに加え、予算委員会で3度質問に立ちました。


経済産業委員会では中心市街地活性化について、長浜市の「黒壁」を例に出しシャッター通りと化している商店街に対する活性化対策を、経済産業大臣、中小企業庁長官に質しました。確かに「黒壁」は、年間200万人を超える集客がある成功例として、よく取り上げられますが、資金面では経営者が個人保証するなど、問題も多いようです。長期的な対策として、本年度からは、内閣総理大臣を本部長とする「中心市街地活性化本部」が設置され、国も本格的に取り組む体制です。各自治体、地域の皆さんは、中心市街地活性化に関する基本計画を作成し、同本部から認定を受けることになります。基本計画の作成にあたっては、民間の関係者も交えた協議も必要であり、地域住民の積極的な参加が今後、求められてくると思います。

ところで、この商店街振興対策に関しては、後日、経済産業省中小企業庁)が中心になって選定した「がんばる商店街・77選」の中で、県内から2ヶ所選ばれました。一つは彦根市内6商店街(彦根夢京橋商店街花しょうぶ通り商店街彦根銀座街登り町グリーン通り商店街おいでやす商店街四番町スクエア)、もう一つは長浜市の「黒壁」です。

いずれも全国の中小小売商業者のモデルとなる商店街であり、今回の選定には、自治体、地元商店街関係各位の日頃のご努力の賜ものと敬意を表する次第です。地元、湖東・湖北の代表である私も誇りに思っています。

(長浜市「黒壁スクエア」商店街入口)

また、商店街振興対策としては、19年度予算で、彦根市の橋本町商店街のアーケード設置事業が認められました。私が昨秋の衆議院議員選挙で初当選以来、地元の商店街組合から強く要請されていた案件で、経済産業大臣、副大臣に働きかけた結果の予算化です。私の初仕事の中で、成果の上がった一つとなりました。

 

決算行政監視委員会では、道路行政全般を国土交通大臣、局長に質問しました。特に、湖東三山スマートインター(仮称)設置については、

@名神高速道路の彦根と八日市インターの間20キロの中間にあること

A利用車両が1日1,000台以上見込めること

B観光客の利便性、地域の活性化に繋がること

C災害時や病人の緊急輸送に役立つこと・・などを挙げ、

早期設置を強く要請しました。これに対して、国交省の道路局長からは、「同インターの必要性は十分理解している。あとは地域において、設置の検討が進められ、関係者間の協議が整えば適切に対応したい」との、前向きな答弁を得ました。今後、周辺道路の整備、交通安全対策を整える問題もあります。地元の皆さん、関係機関の一致した協力が第一と考えます。

 

昨今、道路整備は公共事業の中でも、縮小される部門となっています。しかし、当選以来、県内をくまなく歩いて見ますと、都市部に比べて道路整備がまだまだ遅れていることがよく分かりました。道路特定財源の一般財源化も結構ですが、やはり、地方にとって道路の整備は生活に密着する大切な案件です。地域経済の発展はもとより、災害時の緊急輸送を考えると真っ先に取り組まなければならない課題で、県内どこの市、町からの要望でも道路整備が一番多くなっています。

(決算行政監視委員会で質問中)

地元の要望の大きい中、18年度予算では、これまで、何年も実らなかった丁野虎姫長浜線(虎姫町中野〜同町五村)の整備に2億5千万円の予算を付けることが出来ました。国道8号線の関連では、米原バイパス(長浜市〜彦根市)塩津バイパス(西浅井町〜木之本町)姉川橋架替米原貨物ターミナル等の改築虎姫町〜近江八幡市間の耐震補強が認められ、更に、彦根駅・長浜駅周辺の整備事業などにも予算が付けられました。一般国道の改築では、金居原バイパス(木之本町)椿坂道路(余呉町)佐目バイパス石榑峠道路(東近江市)が、防震災では久徳橋(多賀町)等が継続で認めれられました。

 

いずれも地元の皆さんから強い要望のあった案件で、連日、国交省の次官、局長をはじめ、担当官に採択を要請した結果の予算化であり、これまでの経験と国交省との人脈が功を奏したのかな・・と、少しは郷土のお役に立てたのではないかと思っております。

 

 

予算委員会では、最近の犯罪、特に子供たちへの犯罪の増加について質問しました。丁度、長浜市で発生した幼稚園児2人が殺害された直後でした。全く痛ましい事件で、答弁に立った杉浦法務大臣も悲壮な顔つきでした。この様な事件の防止には、家庭・家族はもとより、学校、行政、地域ぐるみの対応が必要です。

昔のように、近所の子供たちにも、目を向けて、助け合う大人が少なくなったのは、都会、地方を問わず残念なことです。また、外国人による犯罪の増加は、地域住民との十分な交流が無いことも原因です。滋賀県内の外国人の登録者は3万人にのぼり、県内人口の2%を超えています。

(予算委員会で質問し答弁される杉浦大臣)

日本人の人口は減り続き、労働人口を補うためにも海外からの移住は増えることは明らかです。お互いの文化、生活を理解し合う取り組みが一層重要になると思います。

 

 

今国会は、小泉内閣の最後の舞台であり、「構造改革の総仕上げ」となる通常国会でした。当初はマンション等耐震偽装事件、米国産牛肉のBSE、ライブドア事件等、波乱国会になると予想されましたが、民主党の偽メール質問で一転トントン拍子に審議が進みました。

18年度予算案の成立後は、公務員の純減や政府系金融機関統廃合などをめざした「行政改革推進法」をはじめ、「健康保険法」「医療法」などが成立しました。
その他成立した主な法案は、消費者団体訴訟制度を創設する「消費者契約法」、出納帳・収入役を廃止する「地方自治法」、外国人の指紋提供を義務付ける「入管法」、耐震偽装問題による建築士の罰則強化の「建築基準法」、幼稚園と保育園の一体化を認定する「就学前教育保育法」、がん対策の充実を図る「がん対策基本法」、農産物生産の担い手に交付金を措置する「農業経営安定化法」、高齢者や障害者の円滑な移動を促進する「バリアフリー法」、容器包装の分別収集や再商品化を促進する「容器包装リサイクル法」、拉致問題の解決等に関し国民世論の啓発を図る「北朝鮮人権侵害対処法」、議員互助年金法を廃止する「議員年金廃止法」などです。

一方、継続となった主な案件は、「教育基本法」・「憲法改正手続法」・「組織犯罪処罰法改正案」・「防衛庁設置法」などです。


全体的に、平穏な国会審議だったと思いますが、小泉内閣の最後と言うことで、途中から、関心が自民党の次期総裁選に移ったこと、民主党が自滅したことなどから、緊張感に欠ける雰囲気もあったように感じました。確かに景気は全体的には回復していると思われますし、サッカーのW杯人気の経済効果もあって、明るい日本列島でもあります。

しかし、個々に見ると急速に進む少子化、悪質な犯罪の増加、経済社会のモラルの低下、各方面にわたる格差の広がり等々、対応しなければならない問題が次々発生しています。

 

国会議員として、郷土の課題を含めて、これからも国民の皆様のご意見、ご要望を謙虚に受け止め、その上に立って、精力的に活動して参りたいと思っております。

皆様のご支援、ご指導を引き続きよろしくお願い申し上げます。

第164通常国会(写真にマウスを合わせるとどこにいるか分かります)

2006年6月18日 衆議院議員 藤井勇治